ほのぼの「木船」だより

2005年03月02日

山の集落の冬

s-kebioka2
3月に入り、雪の心配はほとんどなくなったけど、ちょうどひと月ほど前の2月初旬、この冬一番の寒波がきて、雪がかなり降った日があった。

日本海の海沿いにある僕の家の周りでも、一晩に30センチ以上積もったから、朝、雪かきが大変だった。
真面目に雪をせっせととっている女房に白い目で見られながら、づぼらな性格の僕は雪かきは適当にして、最近手に入れた4WDの中古車で雪道を1時間半ほどかけ、山奥の集落へでかけた。

そこは、近畿では有数の雪深い町として知られているのだが、なかでも、一、二を争う豪雪地域で、屋根の上には1㍍40cmほども雪が積もっていた。
これだけ降ると、当然、屋根の雪下ろしをしないと雪の重みで家がつぶれる危険性が高まる。

だけど、いまでもじわじわと過疎化が深刻で、お年寄りだけの家がかなりある。
で、重労働で危ない屋根の雪下ろしの作業を地元の工務店の人たちが頼まれて、きょうはこの家、明日はあの家というふうに、順番を決めてやっていた。

別の家では、60代後半の女の人がひとりでかなり高くて急勾配な屋根の上に上り、雪下ろしをしていた。
僕は、ちょっと驚いて「怖くないですか」と聞くと「これを付けているから」と笑顔で答え、足もとのカンジキをスコップで指した。
「それより、根雪が固くなって女の力ではなかなか落とせないから困ります」と言う。

子供さんたちは、都会で住んでいて、ご主人と二人暮しだが、その主人は冬の間、酒づくりの出稼ぎに京都の伏見へ行っていて留守で、昨晩も雪のようすを心配して電話をかけてきたと、話してくれた。

急いでいた僕は「気をつけて」と声をかけるのがやっとだったが、「このあたりでは、屋根の雪下ろしぐらい女でも当たり前で平気ですよ」と笑った。

地震と記録的な大雪の新潟県山古志村など中越ほどではないけど、但馬の冬も結構大変なことを改めて感じた一日だった。

帰りに、雪がやんできたので、デジカメで山の集落の写真を撮った。
きれい事では済まされない、いろんな苦労はあるのだけれど、山の集落の冬景色は感動的で、とても美しかった。